amayadori

ビッグのamayadoriのネタバレレビュー・内容・結末

ビッグ(1988年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

子供が大人になってしまうという「安いネタ」をここまで完璧に近いエンターテイメント作品にしてしまうのが、ハリウッドの凄まじさなのかもしれない。
それもそのはずで、立身出世に恋愛、友情、家族愛といった「うま味」要素が欠けることなく、且つ破たんしない程度に上手く投入されたプロットだからではないか。
終盤、母親がジョッシュの部屋から無線でビリーを呼び出してしまうシーンは、親としてのリアルな心の機微に触れているような気がする。
スーザンと体を交えた翌日からブラックコーヒーを飲むようになるという「実際ないあるある」な一コマまで抜かりない。
ネタは安いが非常に良くできた脚本だと思う。

そしてトム・ハンクスの上手さ。
ここまで子供になりきろうとすると「一生懸命さ」が出てしまいそうだが、そんなことはない。
きわめてナチュラルな少年になっているから凄い。
俳優としての実力をまざまざと見せつけている。
巨大鍵盤でのダンスが有名だが、個人的にはグレン・ミラーの「ムーンライト・セレナーデ」をBGMにしたあのキスシーンがハイライト。

リーバイス、ナイキのスニーカー、ペプシやピザハット、当時のメジャーリーグの映像など時代の空気が詰まっている。
余談だが、地味にタイトルバックはソール・バスによるもので、エンドロールに記載されないと気付かない程、彼の主張は抑えられている。
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