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ビッグのろのレビュー・感想・評価

ビッグ(1988年製作の映画)
4.8


年上の女の子に憧れるジョシュ、13歳。
移動遊園地でジェットコースターに乗ろうとするも、身長が足りず断られてしまいます。
「もしも自分が大人だったら・・・」
そんな彼の目に飛び込んできたのは、怪しげな占いボックス。
25セント硬貨を入れ、お願いをしてみると・・・。

うそでしょ!?これがボクなの・・・?

浴室の鏡に映る自分は、なんと、すっかり、大人そのもの!
家を追い出されてしまったジョシュは、途方に暮れながら、ニューヨークへ向かいます。

「大人なんだから、働かなくちゃ!」
そこでジョシュはオモチャ会社に就職することに。
はじめはコンピューター係だった彼も、その感性の豊かさを買われ、みるみるうちに昇進していき・・・。


オモチャのデパートで過ごす夢のような休日。
シマウマの巨大なぬいぐるみにまたがり西部劇ごっこ。
知らないこどもたちとの遊びに夢中になります。
そこに現れたのは、勤め先の社長。
ふたりは巨大なピアノを足を使って、チョップスティックスを連弾。
我を忘れてたのしそうに、タップダンスを踊るように、演奏するんですね。
無邪気なジョシュに、社長はすっかり信頼を寄せます。

ジョシュの魅力に惹かれるのは社長だけではありません。
同僚のキャリアウーマンもまた、彼の飾らない態度に心を奪われていくのです。



つい最近、北杜夫さんの「船乗りクプクプの冒険」という本を読んでいました。
この本はとってもおもしろい、とにかくおもしろい。
癇癪をおこしたかと思えば手をパチパチとたたいて喜ぶ船長も、100たびのジャンケンがいつまでたっても終わらないナンジャとモンジャも、そして心細く海を見つめるクプクプも、読めば読むほど自然と笑みがこぼれて、愛おしくなる。
そんな、あたたかさに満ちた一冊なんです。
それはきっと、北杜夫さんのこどもごころ(こどもの気持ちを忘れないでいようと心がけているのかもしれない)がありのまま伝わるから。
そういう“こころのありかた”って、やっぱりどこか、人のこころをほぐす力があるんだろうね。
その力を、この映画の主人公ジョシュも持っていて、まわりの大人たちはどんどん巻き込まれてゆくんだ。(もちろん、観客のわたしたちもね(^_-)-☆)



ジョシュの誕生日。
「もうあいつなんか知らない!」と、すねる親友は、ジョシュとの思い出を捨てようとする。
すると、いつも使っていたトランシーバーがかすかに音を立てた。
ジョシュの帰りを待つふたり、ジョシュのお母さんと親友が窓越しに「息子は、あいつは、必ず帰ってくる」と話すこのシーン。もうたまらなくいいんです!(はぁ〜泣いた〜!)



赤く色づいた並木道に、こんもり落ち葉の山。
ぶかぶかの服に身を包み、しょげたようにうつむき笑う、小さな背中にクローズアップ。
ろ