床ずれ

フィーバー・ルームの床ずれのレビュー・感想・評価

フィーバー・ルーム(2016年製作の映画)
4.8
久々にアピチャッポンの世界に吸い込まれて、そして打ちのめされた。
最近、光とは力=権力(power)なんじゃないかと考えている。アピチャッポン映画において王様や兵隊が「光りの墓」に眠るのはそのためだろう。
『Fever Room』で、轟音とスモークに包まれながら、トンネルのような光の渦に吸い込まれる時、『世紀の光』のラストに出てくるダクトの黒い穴を思い出した。このダクトに吸い込まれた先の世界は、もしかしたらこんな感じなのかもしれない。
ジェンおばさんは最近、見た夢を覚えていないと言っていた。それは若い男に光を奪われたからだという。何故男は光を奪うのか。それは恐らく、力=権力への意志のようなものが働いているに違いない。我々は、そんな力=権力を全身に浴びながら、光の洞窟を彷徨い、冥府への境界を垣間見ていたのかもしれない。
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