浮浪者

フィーバー・ルームの浮浪者のレビュー・感想・評価

フィーバー・ルーム(2016年製作の映画)
3.6
舞台洞窟に住まうものたちを啓蒙(覚醒)にいたらしめる客席からの光線(視線)。

啓蒙の上塗りをされることで無垢に仕立て上げられたものたち(観られる観客というズブの素人(それは映像の演者のように))こそが回帰するべく母胎/洞窟を演出する切実さが感じられた作品だった。

その作為の巧妙さは、アピチャッポン印の夢の過剰化ともとれ、彼の作品を補完する観客(夢の内容)などはもはや死に絶えてしまったのでは、と思わされる時であった。

次はアピチャッポンホテルでもはじめるのかなぁ。

が、17年冬のKAATで思うたこと。今回19年夏の芸劇をみて、この部屋は反復に耐えづらい構造であることをしる。

まずは見るものとして馴致したうえで、見られるものへ転倒させるトリック(客席を舞台と化する)がもたらす無垢なる経験。

アンソニー・マッコールが夢見たパラシネマの行方をおもふ。
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