Inagaquilala

茅ヶ崎物語 〜MY LITTLE HOMETOWN〜のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
何人か知人も出演しているので、興味深く観賞。綺羅星のごとく優れた音楽家を輩出している湘南の茅ケ崎という町には、もとから憧憬にも似た気持ちを抱いていたが、この作品を観てその理由がわかったような気がした。作品は、宮治淳一氏がたどる茅ケ崎の音楽的系譜、中沢新一氏が解き明かす茅ケ崎という土地へのアースダイブ、そして日本を代表するミュージシャンでありパフォーマーでもある桑田佳祐誕生の劇中劇の3部構成で成り立っている。

茅ケ崎の巨星・加山雄三へのインタビュー、音楽評論家・萩原健太氏とのぶっちゃけトーク、そして桑田佳祐自身が登場する茅ケ崎の象徴でもある烏帽子岩でのライブパフォーマンス、音楽的にはなかなかバラエティーに富んだ構成となっていて、なかなか楽しめる。

中沢新一氏が茅ケ崎という土地を神代の昔から探訪していくアースダイブの部分も、かなり知的好奇心を刺激する。最後は、何故この土地に音楽が必要であり、優れた音楽家が誕生したかにまで言及する部分は、とにかく面白い。たぶん、中沢新一氏のアースダイブを、この作品に導入したのは、大正解であったと思う。

そして、閑話休題的に挿入される劇中劇だが、ある人間たちにとってはこのエピソードはたいへん気になるアイテムなのだろうが、果たしてこの部分が、「劇中劇」という形で必要だったのか、やや意見が分かれるところであろう。

とはいえ、積年の自分の疑問にも的確に答えてくれたドキュメンタリー作品であることには間違いない。ラストシーンを彩る桑田佳祐のライブパフォーマンスも重要な見どころだ。
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