菩薩

サイコウノバカヤロウの菩薩のレビュー・感想・評価

サイコウノバカヤロウ(2017年製作の映画)
4.6
社会の就職→結婚→子供との大衆的には正統とされるレールを踏み外し、一般的には「ダメ人間」とのレッテル貼りをされ、それでもこんな自分でも誰かの役に立てるのでは無いだろうか、いや立ちたい、むしろ立たせてくれと嘆く、俺のような社会不適合を飛び越えてむしろ社会よ俺に適合して来いやなんて思ってる人間には200%響くであろう非常にポジティブな後ろ向きムービー。慈善と偽善、世話とお節介、そして「イカれてる」と「イケてる」の境界を探る絶妙なストーリー展開から「友情」を飛び越えて行く見事なラブストーリー、そこらへんの少女漫画原作の脚本力の低下を露呈する陳腐な量産型ムービーよりよっぽどシネコンにかけるべき作品だと思うし、若干めんどくさいながらも終始ギリギリのところで抜群に面白い台詞回しは本当に天才的。困っている他人の話に耳を傾けること、そして何を出来ずとも寄り添うこと、何かを出来るのであれば首を突っ込んでやる事、自分レンタルがテーマなわけだけど、結局社会はそこに金銭が介在せずとも他人との貸し借りで成り立っているものだと思うし、何かをして貰ったら何かを返すという、古来には恐らく当たり前に成し遂げられていたであろう人間関係が崩壊し、いつの間にやら奪ったもん勝ちに変容してしまった現代社会において、このメッセージ性は非常に強固な一撃として突き刺さる物だと思うし、そう信じたい自分がいる。こんな作品が、評価されたって、いいじゃないか、に、人間だもの…ね。OPフェスで計7本観たけど、個人的にはサイコウの出来の一本、いやぁ、ピンク映画恐るべし…。
菩薩

菩薩