映画狂人

聖なるものの映画狂人のレビュー・感想・評価

聖なるもの(2017年製作の映画)
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一見するとオタクの妄想を具現化したコラージュのようで見てられないんだけれど、そのじつ相当テクニカルな事やってて、監督の映画リテラシーの高さが窺えるラストショットなんて鳥肌もの。
自主映画製作の裏側を描いたありがちなモキュメンタリー(フェイクドキュメント)だと思っていたら、視点が切り替わる後半からは破壊と再構築のツイスト掛かりまくった多重構造が展開。
幾重にも紡がれるメタ構造の果てに無限に広がる映画宇宙、一般層には余り響かないかも知れないがシネフィル勢がこぞって絶賛するのも頷ける。
創作のミューズを演じる南美櫻は昔観た『雨粒の小さな歴史』で気になった黒髪ロング前髪ぱっつんがよく似合う美少女、他作品で全く見掛けないので辞めてしまったのかと思っていたが続けていたようで安心した。
もう一人のヒロイン小川紗良は今年公開の長編初監督作『海辺の金魚』も話題の若手演技派有望株。
ライト層には可愛い主演女優二人を愛でる為に、ヘビー層には引用元や撮影技法について議論して頂く為に是非薦めたい。
庵野秀明×フェリーニ×六番目の小夜子と言った所だろうか。
妙な中毒性を帯びた癖になる作品(続け様に2回観てしまった)、なのに円盤化されていないのは残念でならない。
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