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聖なるもののYossyHOMMEのレビュー・感想・評価

聖なるもの(2017年製作の映画)
4.5
岩切一空監督最新作。快作にして怪作、大器の片鱗を見せつけた前作「花に嵐」の撮影スタイルを踏襲しつつも前作以上に内省さを強めながら、突き抜けた爽やかさとポップさ増し増しで「映画づくりとは何か?」という問いに肉薄しようとする。
‪本作の肝となるのは、今作の象徴であり文字通り「映画の亡霊」を完璧なまでに演じきった南美櫻と、自らも監督を生業とする存在としてそのバックホーンを活かして今作の狂言回し的役割を担った小川紗良によるWヒロイン。‬
そんな対照的な2人の女優をヒロインに据えることで、監督と女優(女優自体が神聖な尊いものでもあるが)という切り離すことのできない関係性を通じて監督はこの問いに迫ろうとする。その真摯な行為こそ、下心でもなんでもない"聖なるもの"と呼ぶのだろうし、それがフィルムには焼き付けられていた。
そんな言いがたい映画の奇跡に目が眩みそうになっている所、スクリーンに現れたのは松本まりか。瞬間、圧倒的な多幸感に耐え切れずに思わず叫んだ。感極まって叫んだ。とにかく叫んだ
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