アキラナウェイ

女と男の観覧車のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.8
今年に入って気付いたんですけどね。

僕、ウディ・アレンの映画を観た事ない!!
1本も!?自分でも驚いて、65本の作品を丁寧に辿っても…観てない。あまり、監督で映画を選ぶ事をしないので1本や2本観ててもおかしくないのに。どんな映画人生を歩んでいるんだ…。

という事で、ウディ・アレン、初めまして。
初ウディ・アレンは最新作!女と男の観覧車〜!

1950年代のコニー・アイランド。遊園地のウェイトレスとして働くジニー(ケイト・ウィンスレット)の元に夫ハンプティ(ジェームズ・ベルーシ)の娘キャロライン(ジュノー・テンプル)が訪ねて来る。父の反対を押し切ってギャングスターと結婚したものの、逃げて来て命を狙われていると言う。

これはなかなか面白い人間模様。

息子は火遊びばかりを起こし、疎遠だった義理の娘の登場で夫との溝は更に深まるばかり。偏頭痛に悩まされるジニーは若いライフガードの男ミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)との不倫に走ってしまう。

もう、ケイト・ウィンスレットの演技が素晴らしい!

歳とともに身体のラインは崩れ、常に不機嫌で、夫や息子を大声でわめき散らしてばかり。機嫌の良い時は、過去にすがる様に女優時代の自慢話に自分自身が酔っている。

ミッキーが若いキャロラインに好意を寄せる様になってからは、見事なまでにみっともない嫉妬で怒り狂う。

40歳の女のリアルをこれでもかと見せつける。流石っす、ケイト姐さん。

主に観覧車を目の前にしたジニーとハンプティの家の中でドラマが展開し、舞台演劇を観ている様に長回しのシーンが多い。部屋の中を照らす観覧車の色とりどりの照明が美しく印象的。部屋を赤く染めたり、暗くなったりする事でキャラクターの心情を描く演出が俊逸。

それにしても、もはや犯罪レベルのジニーの息子の火遊びよ。もう完全に放火!息子に火遊びをやめる様に叱りつけるジニーよ。いやいや、母親のあんたがまず先に火遊びをやめてから言いましょうよ。

女と男が相手を替えながら、上がっては喜び、下がっては泣きわめく。何処に辿り着くでもなく、くるくると回るだけの観覧車。下から見上げているのが、1番安全で1番楽しめるのかも。

オールディーズの音楽も心地良く、ちょっと大人向けで、役者の演技を愉しむ類の映画でした。

さ、これからはウディ・アレンを観るぞーー!