円柱野郎

女と男の観覧車の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1950年代のニューヨーク、コニーアイランド。
若者と不倫をしている人生に疲れた人妻が、ギャングから逃げてきた夫の娘の登場で歯車を狂わされていく姿を描いた、ウディ・アレン監督のドラマ作品。

全編台詞だらけ、というか常に誰かがしゃべっているのはウディ・アレン作品らしいが、本作ではジニーを演じるケイト・ウィンスレットが嫉妬深く神経質な感じでアレンの分身として見事に主演を張っている。
喚き散らしているシーンなんてワンカットの場面も多く、演技の熱量が伝わってくるようで改めてすごい女優だなと思った。

とはいえ劇中に共感できる登場人物がいない…というか、特に主人公の身勝手な思考がどちらかと言うと不快な感じなので、観ていて楽しい作品ではないかな。
結局のところ、彼女の人生という物語の“主演女優”に返り咲こうとして見事にこの“悲劇”の中心人物になりました、という話なわけだ。
ラストでドレスを着て夕日にライトアップされる姿なぞ、まさにこの女優のクライマックスにふさわしいスポットライトな感じだけれど、そういう意味では舞台劇っぽい印象も受けたかな。

基本的にこの映画の登場人物は、ジニーを苦しめる存在という役目以上のものはない。
ギャングから逃げてきたキャロライナの人物像はまだ掘ってある方だけど、ジニーの息子なんてなんで放火癖があるのか、火付けに意味を持たせているのか…?はよく分からなかった。
円柱野郎

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