チョマサ

女と男の観覧車のチョマサのレビュー・感想・評価

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
4.0
9/9観賞
wikiを見たら評価が低いことが書いてたけど、自分はいい映画だったと思います。
前に見たアレン作品が『教授のおかしな妄想殺人』で、あれよりずっとよかった。『カフェ・ソサエティ』は観てないです。

ツイッターでこの映画の一場面を見たのがきっかけで観たかったんですが、ほんとに映像が凄いです。『裏窓』のアパートみたいなコニ―・アイランドの遠景、ギニーたちが暮らす家の風景を色鮮やかな照明とオレンジの夕陽が照らしてすごく見応えがあって最高です。ヴィットリオ・ストラーロの撮影に照明、美術、完璧です。

そんな映像で登場人物が落ちぶれていくのが描かれます。母親のジニーはウエイトレスを止めて女優に戻りたいし、息子のリッチーは不満を放火で吐き出すのが癖になってるし、それから夫のハンプティとの夫婦仲の悪化、彼の娘のキャロライナの結末と、みんな不幸になっていく。いちばん好きなのはジニーとハンプティの喧嘩の場面です。部屋を移動しながら彼らの様子を追っていくんですが、急に二人の間に部屋の柱が黒い影になって入ってきて、定番だけど二人の関係の断裂を見せてて良かったです。

こういう結末だと国によって受ける印象が変わると思います。パンフレットでケラリーノ・サンドロヴィッチさんや井上一馬さんが舞台を意識してることが書いてあったけど、演劇を意識してるのも、登場人物がひどい目に遭っても客観的に見られるのかもしれない。余計なリアリティがないからかも。
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