Monsieurおむすび

アイムクレイジーのMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

アイムクレイジー(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

祐樹はミュージシャンとしてのしがらみに嫌気がさし、音楽活動を辞める決心をしてラストライブに臨む。
彼のライブ当日の朝から始まる狂った1日。

元バンド仲間の活躍
元カノの辛辣な言葉
才能への見切り
折り合いをつけられない自身の心。

好きで音楽をしている筈なのに、音楽によって荒んでいく苛立ちから、八つ当たりを繰り返す祐樹は発達障害を抱える健吾を育てながら仕事もするシングルマザーの美智子との出会いで自身を見つめ直していく。。。

独善的なくせして、
世話焼きで
突き抜けられない自分が嫌で、無理にでも周りを否定していないと、自分の事を直視出来ないダッサい若者なのだが、よく解ってしまう部分も多々ある。
自由と理想を求めた者なら、世界の汚さや自分の無力さにこんな心境にもなるだろう。
大事だと思えたモノを手離し
煩わしいだけに思える意思疎通の難しい健吾に自身を重ね、美智子の前向きで実直な生き方に触発され祐樹は進む。

世俗的な〝普通〟を捨て、〝キチガイ〟と呼ばれても自分らしく、そしてそんな自分を正当化ではなく、肯定すること。

磨耗して磨り減った祐樹の鋭く尖った心は、長い夜を越えて渋谷の雑踏を羽根のように軽やかに舞う。
Monsieurおむすび

Monsieurおむすび