Amazonで昨日で配信終了する映画の中で目についたので見ましたが、見てイライラするタイプのデータや根拠がはっきりしない映画で、映画としての出来もどうかな?というものでした。アメリカのアカデミー賞ってドキュメンタリー部門だとどうかと思うできの映画が時々受賞するんですね。
映画はまずウクライナ共和国チェルノブイリの事故以降十数年経ってもなお立ち入り禁止の地域を訪ねます。老人は放射性物質の影響を受けにくいということで、そんな地域でも暮らす老人たち。健康被害は目立たないけどあるらしい?そんな中でアル中の若い夫婦が幼児を育てている。これは危ないのかもしれない?
次に訪ねるのはベラルーシの遺棄された子供のための障害児施設とこども病院。
原発事故以降増えたという重度障害児を収容する施設にチェルノブイリの子供たちを援助しているという女性が向かいインタビューしますが、インタビューの仕方がある結果を引き出すためのもので、相手に寄り添ってなくて嫌な感じ。あと、障害のせいで年齢より若く見える子供もいるけれど、全体的に若いので、障害の原因が何なのかはわからない。チェルノブイリ以降障害児の遺棄が増えたというけれど、別の理由があるのかもしれないし。
事故後多くなった甲状腺癌の手術を受ける子供たち。体内の放射線量をはかり食事指導などを受けています。放射性物質を多く含んだ食べ物からの影響が大きいということで、よく食べるものも検査したりする。
最後のチェルノブイリ・ハートと呼ばれるチェルノブイリ以降急増した子供の心臓病の手術をボランティアでしているアメリカの医師たち。急いで手術しないと亡くなってしまう子も多い。この辺、行政がなんとかすべきなのだろうが、ベラルーシは貧しく、経済的な理由で手術がままならない。最初の障害児施設でも早期に手術を受ければ障害が克服できたのではないか、と思える子供たちもいた。
ベラルーシは国土の99%が事故の悪影響を受けているということらしいのだかこの数字がどういうものなのかはよくわからなかった。
全体的にデータの根拠が弱く、本当歯痒かったのですが、一つ確実にわかることはこの地域の政治的混乱と貧しさが放射線以上に子供たちの苦境への対策をとりにくくしているということで、その辺が見えてくるのはこの映画の功績でしょう。
映画の中でインタビュアー的に登場する女性はベラルーシに子供たちのための医療プログラムを提供しているアディ・ロッシさんで、その信念や功績は素晴らしい。
見てよかったとは思いますが、アカデミー賞受賞後でもいいですからもうちょっと数字や描いている事実の根拠をきっちり出して編集しなおしたり、日本語字幕を監修をつけてきっちりつけたりしたら見た人から援助も引き出せたんじゃないか、という意味で勿体無い作品。
これ以後状況が改善していることを願いたいですが、チェルノブイリハートを英語でGoogle検索してもこの映画のことしか出てこないので気になります。もうちょっと基本的なことを知らなければ、と思いました。