暗い映画好きおすすめの、一筋縄ではいかない良作。
グリーンルーム、ブルーリベンジの監督の新作はNetflixオリジナルの映画。
動機を理解することはできないが、この地の闇と、夫婦の闇を理解しない限り、動機を見つけることさえもできない。
冒頭15分ほどの、ライリーキーオ演じるメドラの不可解な行動から何を読み取るか。
そもそもなぜ、子どもが狼に攫われからと言って、他人に狼を殺させようとしたのか。
細かいところでメドラという人間に違和感を覚えつつ、ストーリーはゆっくりと進んでゆく。
この地で、メドラは外の本を読み、世界を知り、自分たちの闇を知ったのかもしれない。
夫バーノンは、メドラの中での存在感もそうだが、物語上でも存在感のある人物である。
多くを語らないキャラクターだが何か普通とは違う雰囲気を戦場のシーンからすでに醸し出している。
“普通とは違う”
この地が抱える闇。常識との差。
基本的には価値観や考え方が普通じゃない。それが当たり前で育つ。
だが、メドラは最近になってそれに気づいて、救済を求めた。
メドラの言う狼は、山に住む狼という生物のことではないだろう。
この地に住む人間。夫。自分。
闇を子どもも抱えてしまったことにメドラは気づいたのかと。
子どもとバーノンの会話から子どももまた普通じゃなくなっていることが読み取れる。
バーノンとメドラは同じ髪、同じ目をしていると言われるシーンがある。また、メドラのセリフで、私たちは出会ったんじゃなくて、最初から共にいた的な表現がある。記憶全てに彼がいると。
それらが指し示すのは何か。本当に健全な夫婦なのか。
いかにホールドザダークかを考えることで、この映画はどんどん面白く感じられる。
ぜひとも真剣に見てほしい。