サムカワ

悪女/AKUJOのサムカワのレビュー・感想・評価

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
3.5
多分僕が悪い。


※どうでもいいことをアホみたいに書きまくってるので、一番下にまとめ的なこと書きました。本文は暇すぎて死にそうな人だけ呼んでください。


角川試写室
filmarksユーザー限定試写にて
一足早く観させていただきました。


実に韓国ノアールらしいヒリヒリするバイオレンスアクション映画でした!



【全体的な感想】
美しき暗殺者の影と、そこから這い上がろうとする悲哀、一抹の幸せ。
ハリーポッター的な学園成長モノと純粋なラブロマンスものを織り交ぜ、さらに時系列イジりによるクラクラさせられる展開。

そんなのつまらないワケないじゃないですか!

エンターテイメント作品として、はたまたアトラクション映画として、最高に楽しい映画でした。



【より引き立つラブロマンス】
本作の宣伝は、基本 アクションの革新性みたいなものを猛プッシュしているわけですが、それだけイレギュラーとも言っていいほど突出したアクションシーン、それに付随する過激なゴア表現があればこそ、
これ以上ない真っ当な、言うなれば"平凡な"恋愛描写に心打たれました。

「あ〜韓流ドラマっぽ〜い」という僕の中のなんとなくのイメージとしてある恋愛描写の数々がとても感動的に映し出されているんですよ!

なにせ主人公の願いはただ"平凡な日常"を送りたかったということですから、非凡にも程がある環境が日常化した世界で、これ以上ないベタな恋への発展の仕方は、むしろ非日常。

そのある種 抽象化されたとも言っていいほど真っ直ぐな心の揺れ動きが堪らなかったですね。

「好きです。待つのが」って!
こ〜の〜!(笑顔で冷やかす)



【ぶっ飛ばされた冒頭7分】
映画が始まって最初の7分のノンストップアクション。
「ハードコア」よろしく主観視点でバッタバッタと殺しまくる爽快感たるや!
「ハードコア」+「ザ・レイド」みたいな感じかね。

フェイクワンショット(まるで長回しワンショットかのように編集された手法を僕は勝手にこう呼んでます)でどこまでも続く怒涛のような殺戮ショーに血湧き肉躍る!

そして主観から客観への切り替わり方の華麗さたるや!
ここが本作の白眉ではないかと僕は思います。

とにかくこのファーストアクションで一気に引き込まれました!



【多分僕が悪い】
……ですが、そのメインディッシュであるアクションに関してちょっと……。


様々なアイディアに富んだバリエーション豊かなアクションシーンの連べ打ちですが、宣伝文句で言われているような
「ジョン・ウィック」
「アトミック・ブロンド」
「ハードコア」
を凌駕するほどではないと思ってしまいました。

アクションの大部分を占めるフェイクワンショットとアクロバティックなカメラワークが本作の魅力ですが、僕にはそここそがノイズでした。


フェイクワンショット自体、もうすでに割と使い古されてきた手法ではないでしょうか。
なので、それ自体に革新性は皆無です。

さらにそのリスクとして、多様しすぎることで
本来緊迫感や迫力、臨場感を演出するはずの手法なのに、逆にカメラマンの存在や、誰かによって作られたものという、余計な部分を考えてしまう余地を与えてしまうということがあります。

"内容"をより効果的に伝えるための"手法"であるはずが
その"手法"が表に出てきてしまい、"内容"を伝え損なってしまうのです。


そしてさらに言うなれば、こういうこと自体 既にみなわかっていて、如何に効果的にフェイクワンショットを用いるかこそが現在のラインなのではないでしょうか。

そういう意味で「アトミック・ブロンド」の大見せ場である、階段から屋外へのフェイクワンショットによる大立ち回りは素晴らしいんです。

その手法よりも、というかその手法を用いることで、シャーリーズ・セロンの身体能力への説得力であるとか、まだ続くのか!と観ている人を疲弊させる迫力であるとか、っていうところに持って行っていたのです。


話は長くなりましたが
本作「悪女/AKUJO」においてのそれは、かなり如実にその弊害が出ているんです。

フェイクワンショットに観客自体慣れてきた時代に、ワンカット風につなぐ"ための"カメラワーク、カメラムーブメントはちょっと…。

カメラが能動的に動くと(しかもそれが長時間続くカットだと)カメラマンの存在が見えてしまうんです。

なんでここでカメラが寄るんだろう……あ、カットつなぐためか

ってのが何度も何度も繰り返されるんですよ。


さらにデジタルでズームしたりってのも多様しているので、やっぱ作り物感が浮き出てしまう。

女優さん本人の身体能力なんか印象に残りませんよ。

カメラがあんなにガチャガチャ動いてれば何やってるかわかりませんし、緊迫感を出すはずの至近距離&ワイドレンズというカメラアングルもかなり勿体ない結果に終わってませんか。

しかも劇中何度となく発生するアクションシーンのほぼすべてが、そのガチャガチャカメラワークですから、
どれだけ肉弾戦、ナイフ戦、銃撃戦、カーチェイス、バイクチェイスと多種多様なバトルを展開しても、結局は観終わってしばらくして残るのは、どれも似たような感じだったな〜と。


ただこれは僕が妙に過度な期待をしてた反動ってこともあって、あまり柔軟な考えを出来てないからなんじゃないかなとも思ってまして、多分これは僕が悪いです。はい。



【余計なこと】
主人公の過去の方の顔が木村文乃さんに似てるな〜とか

あの人 東山紀之さんにしか見えないよー!!とか

おや?彼は小栗旬だー!!とか

似てる人を思い浮かべるという
僕の中での"韓国映画あるある"が発生しまくってました。



【結局何が言いたいかというと】
バイオレンスが過激であるが故に、それと相対する純粋なラブロマンスも、最高に輝いてみえますし、
宣伝でもよく見かけるウエディングドレスにスナイパーライフルを持つ姿なんか もうウットリするほど美しい……。

主人公の心の揺れ、変化なども丁寧に積み重ねていっているので、一見時系列を組み替えた編集でも、実はとってもわかりやすく作られているので、ストレートに感情移入できるし、感動します。


先程からウダウダ長文で言ってることは、要するに「ちょっと僕の好みと違ったわい」ってだけなんで。


おススメです!
サムカワ

サムカワ