成川ジロー

悪女/AKUJOの成川ジローのレビュー・感想・評価

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
4.3
やはりと言うか、思った通りの、不完全だけど尖ってて鋭くて「ヤベえ!」「最高!」って感想が多くなりがちなアクション全振りの素晴らしいアクション映画でした。薦める人を選ぶタイプの映画。

とにかく褒めるべきはアクション。1カット風アクションに力を入れ過ぎててそうなるとやはり見づらさはあるものの、オープニングの主観スタイルから、予告で話題になったバイクアクション、クライマックスの車でカチコミ!からバスまでのノンストップアクション、全てのアクションの熱量、テンションは本当に素晴らしい。手に汗握るとはまさにこのこと。細かい粗こそあるものの、その凄いアクションをやろう!って言う気概とチャレンジ精神は褒めても褒めても足りない。最高。これだけで見る価値がある。このアクションだけで劇場に足を運ぶ価値があります。眼福。

ボンネットに座りながらハンドルを操作するボンネット走法は是非やりたい。ってかいつも素晴らしいパクリティを誇るハイローが真似しそう笑 達磨の日向にやらせたい!!

アクション全振りなので脚本はツッコミどころ満載で、正直2時間20分は長過ぎるので、削って欲しいところは沢山ある。
映画中に時間軸を縦横無尽に入れ替えまくるのはもっとスマートに、わかりやすくやって欲しいし(登場人物の区別と言うか、キャラクターの認識ができるようになるまでの序盤はその段階で整形とか挟むから凄いわかりにくかった)、一番削ってほしいのはガチサイコパスストーカーにしか見えない今の夫役との、文字通りの「茶番」シーン。
見てる最中ずっと気持ち悪くてこいつ早く殺されないかなって思ってた。子供に好かれて本当に愛してたから結果オーライみたいな描かれ方してますが、考えてみるとスクヒの情報を知っていながら「俺もパートナーに先立たれた共感しやすい設定にしてスクヒを落とすぞ☆」なんて考えてる姿が簡単に想像できてしまい、状況的には『パッセンジャー』よりも圧倒的に嫌悪感を感じる。良い人方向に話進めるなら絶対にもっと良い脚本・展開にできる。トイレに人がいないことを確認せずに機密情報を電話でベラベラ喋る辺りスパイとしても明らかに無能。てかこのキャラクターいなくても別に成立するんだよね。もしやるんなら本当に何にも関係ない一般人の善人とかにして欲しかった。2時間20分はもう一回見ようってなるには長いんだ……

監視している部屋に敵の組織の人間が入って居座って帰りを待ってても誰も気づかないor見ている人がいないor警報すらないと言う組織がガバガバ問題は笑ってしまうレベル。工作員の人数とか規模を考えると実は政府の諜報部なんかじゃ無かったんじゃないかと勘ぐってた。妊娠してた主人公をスパイとしてヘッドハンティングする際に子供を降ろさせないって云うのも凄いな。生きる希望、働く目的みたいにするにしても無理がある。
個人的には政府もクソで主人公利用してて、マフィアもクソで主人公利用してて、最終的にどちらも全員叩き殺す展開にして欲しかったな。あのあまり役に立たないスパイ養成学校みたいなところ総出にして主人公vs後輩女殺し屋軍団とかも見たかったし。(『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』みたいな感じで)

タイトルですが悪女って言うか、ひたすら強いけど運が悪い女なんですね。全ての行動が主人公の利に全くなってないから。悪い女って感じでは無かったです。韓国での「悪女」って違うニュアンスがあるのかな。

今の夫のキャラクターが本当に嫌なので長々と書いてしまいましたが、絶対に映画館で見るべき作品です。アクション好きは必見。むしろ見ないでアクション好きとか名乗れない。オススメです!
成川ジロー

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