モールス

ボビーのモールスのレビュー・感想・評価

ボビー(2006年製作の映画)
3.5
初見ではRFKの伝記映画と思っておりました。内容は群像劇で少々アテが外れたものの見応えはありました。最近になって、二度目の鑑賞をする機会を得ましたのでレビューします。
クラシック作品の「グランドホテル」的に、その日アンバサダーホテルに集った人々や職員たちの一日の模様が描写されてます。
その人々は各々の立場からRFKに希望を託してるのでした。当時のアメリカが抱えてる問題を余すところなく挙げてる描写の細かさが丁寧です。
ベトナム戦争の泥沼化、マーティン・ルーサー・キングの暗殺、ゲイの市民権運動、東西冷戦による関係悪化、レイシズム問題、ドラッグと枚挙に暇がありません。
作品の目線はあくまでも庶民レベルであり、希望の星の登場をそれぞれの立場で待っていたのです。その目線の方がRFKが如何にアメリカの希望であったかが伝わります。またその死が如何に衝撃的であったかということも…。
あと特筆したいのはキャストの豪華さですね。アンソニー・ホプキンス、ウィリアム・H・メイシー、ローレンス・フィッシュバーン、マーティン・シーン、ヘレン・ハント、デミ・ムーア、シャーロン・ストーンなどです。RFKの実際の映像を使用するだけに、それに釣り合う役者さんを使ってましたね。特に「ニクソン」で主演を務めたアンソニー・ホプキンスは存在感ありましたよ。
アメリカではRFK暗殺の概容は国民のほとんどが知るところだったと思います。どのように暗殺されたか、事実関係を羅列するのも確かに野暮ったいです。このようにアメリカの希望がなくなった国民のショックにスポットを当てたところは見事です。視点が面白かったと思います。
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