れもん

映画ドラえもん のび太の宝島のれもんのレビュー・感想・評価

3.5
2018年公開の『ドラえもん』の映画シリーズ38作目(「第2期」13作目)。
興行収入も観客動員数もシリーズ歴代最高記録の作品。

個人的にはそこそこの出来だった。

前作『のび太の南極カチコチ大冒険』と似たタイプのシンプルなキャラクターデザインだったけど、2作連続でこのタイプの均一な描線が続くと強弱のある描線が恋しくなってしまう。

ストーリーの大筋は19作目『のび太の南海大冒険』と『天空の城ラピュタ』を足して2で割ったような感じ。
私は今作より19作目のほうが好きだけど、きっともう19作目のリメイクはしないつもりなのだろう。

今作では小説『宝島』について語り冒険のきっかけとなる出木杉だったが、「第2期」における出木杉はのび太の言葉を否定するキャラクターとして描写されがちなのがもどかしい。
原作漫画や「第1期」においてはむしろのび太の言葉を肯定するキャラクターとして描写されていたはずなのに。

また、しずかとセーラのガールズトークを大人の男たちが盗み聞きしようとしてマリアに怒られるシーンの気持ち悪さは『天空の城ラピュタ』の気持ち悪さとよく似ていた。
『天空の城ラピュタ』は大好きな作品だが、子供の頃からシータに対する大人の男たちの反応や行動が気持ち悪くて仕方がない。

今作のしずかはやたらとのび太を特別扱いというか異性扱いしている雰囲気だったのも、あまり好きな演出ではなかった。
どうしてもそういう演出をしたいのなら、のび太がしずかの入浴時に訪問するシーンは無くすなどバランスをとってほしかった。
今作の脚本を担当した川村元気がプロデュースした作品の一覧を見ると色々と納得感はあったが。

そして、『ドラえもん』ではもはやおなじみの「ノアの方舟」というキーワード。
率直に言えば、地球のエネルギーを奪って宇宙に逃げる計画と海賊活動をしたり財宝収集したりする行動との間にどのような関連があるのかは理解しかねた。

ミニドラ推しとしては、カラフルなミニドラたちが活躍していたのはとても可愛くて良かった。
まさかクライマックスにまで見せ場があるとは!
ミニドラがまともに活躍するのは恐らく14作目『のび太とブリキの迷宮』以来かな。
正直ミニドラが出ていなかったらスコアはもっと低くしていたかも。

また、ジャイアンだけでなくスネ夫が活躍していたのも評価したいポイント。
損な役回りをさせられがちなスネ夫が活躍するだけで良作認定しそうになる自分がいる。

主題歌は星野源の『ドラえもん』。
一緒に観ていた7歳児は「アンアンアン♪」より「シャララララ♪」より「どどどどどどどどど♪」に馴染みがあるようだった。
ジェネレーションギャップ。

【2022.08.27.鑑賞】
【2022.08.28.レビュー編集】
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