このレビューはネタバレを含みます
【 14万4000 人の、天国に行けるであろう利己主義者たち 】
『新感染』ほどのテンポは無く、アニメーションの不思議な動き、テンポで進んでゆく。
エンタメ度は新感染よりだいぶ低め。
『新感染』では助け合いの精神に目覚めてゆく父親や自己犠牲精神マンマンのドンソク兄貴やら“熱い” 面々の人間模様が見れたけど、コチラの登場人物はほぼ 皆 “ 自分第一” 。
ロクデナシ親父が警察や村人に『あいつは詐欺師だ!』と訴えるのも、怪我させられて詐欺師にムカついたからであって、正義感からではない。
夜の世界に堕ちた娘を引っ張り出すのも、娘が大事だからではない。娘が自分の思い通りにならないのは面白くないから。
ロクデナシ父ちゃんを筆頭に、神父も詐欺師も、村民だって利己主義。
あのボンヤリ君も然り。亡くなったお婆ちゃんと同じ天国に行きたいから悪魔のオマエを殺すって、超自分本意ジャン。
信仰のお陰で妻の死に顔は穏やかだった、って。苦労させた妻に罪悪感を感じたくないが為の代弁に聞こえるよ。
神父の『お前のような “悪” が居るから理想の世界にはならない。だから死ね!!』って牧師も利己主義。
信仰心を皮肉った作品ではないのだろうけど、ワタシ個人は信仰心が無いせいか、なんとも滑稽に思えて‥‥(そこが面白さ?)
利己主義のカオスと言うのか ^^;
しかしとにかく今年は、
『沈黙』、『ハクソー・リッジ』、『夜明けの祈り』‥‥
“信仰すること” によって苦しむ人々の映画をホントよく観る‥‥
観れば観るほど、逆に “ 信仰” に対してどんどん理解できなくなってきてます ^^;