本編の目眩く悪夢的な狂気のイメージの奔流を、全身で感じた気分。
とにかくデザイン、世界観、発想、造形が素晴らしい。
ラストはあれ？ここで終わりか、という様な、ある意味フランス映画的な呆気なさ（本当に欲を言うなら同じ結末でももう少し終わり感は出せるのでは、という食い足りなさ）があったけれど、そんな事は封じられてしまうほど、この世界を構築してやろうという堀監督の執念というか、情熱の圧を感じた。
デザインにしても動きにしても、グロいし夢にも観そうなんだけど、何故だかユーモラスで可愛さを感じてしまう。全体のムードをコメディ方向に振ったのは、保守的な自衛もあったと思うけど、正解だと思う。
ロングのメビウスを思い出させる様な、シンプルでありながら、硬質で美しい美術の感じも良し。実写やペイントも使ってる様だけど、差は分からなかった。
個人的にアニメ屋的には、ここもう数コマ抜きたい！とか、ここは丁寧にやらない方が実感が出たのにな、と焦った箇所もなくはなかったけど、それにしても映像制作皆無の監督が、ここまで辿り着けてしまう事の方が凄いと思う。
だいたい制作7年と謳っているけど、これを7年で創り上げてしまうのはかなり早いと思う。実質、最初の30分が4年かけての自主制作で、アップリンクで1日限定上映。その後、紆余曲折の末に出資を受けて、長編へと再構成したそうだけど、それでもメインスタッフは監督含めて4人。自主制作時とは違って、他の仕事は持たずに朝から晩まで撮り続けたその執念に拍手。
