むらむら

JUNK HEADのむらむらのレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
5.0
たった一人で7年の歳月を掛けて完成させた、気合入りまくりのストップモーションアニメ。

1600年以上未来の世界。地上世界に住む人間が、地下世界に棲まう人工生命・マリガンの調査のため、今作の主人公であるJUNK HEADくんを地下深くに送る、という話。

「ライカ」とかのストップモーションアニメも凄いが、ここまで作り込まれたものを、7年の歳月をかけて一人で作り出せるとは恐れいる。ボトルシップを見ただけで発狂する俺としては、完成させただけで尊敬の念しかない。

しかも、作品としてのクオリティもとても高い。例えば、沢山挟まれるアクションシーン。これストップモーションでどーやって作ったの!?みたいなダイナミックなアングルでキャラが動きまくる。

ガンダムの「黒い三連星」や、北斗の拳のシュウみたいな死に様、マトリックス、インディ・ジョーンズなどなど、細かくいろんな作品のパロディみたいなのも入ってて楽しい。

何語か分からない登場人物たちの声も、この作品のクリエイターである堀貴秀さんによるもの。
だからエンドロールが

堀貴秀 堀貴秀 堀貴秀 堀貴秀 堀貴秀

のオンパレードになってて笑ってしまった。加勢大周かよ(……って例が古いですね)。

キノコみたいな食べ物・クノコを採集する工場、悪玉マリガンに襲われるシーンなどなど、悪夢のように残酷な描写もあるので、決して子供には勧められないが、大人にこそ観てほしい。フォローしてるタケオさんの感想に「クール・ジャパンってのはこういうのを言うんだ」という一行があって、めっちゃ同意。

どっちかっていうと、俺は「仕事しろ!」と怒られて俺自身がストップモーションしてしまう側なので、無数の努力を続けて完成させた監督の熱意と、作品のクオリティに感動させられてしまいました。

俺、おはぎにゴマを振りかけるバイトを1日でバックレたくらい忍耐力が低いので、俺が作ってたら1000年かけても完成させられない自信ある。このスチームパンクな世界がリアルに来るほうが早いかも。

※これを書いた直後に、この作品を観た「アップリンク渋谷」が来月閉館することを知りました。寝そべって見る事のできる映画館として、幾多の作品を上映して頂いてたので、閉館は残念です。これまでありがとうございました。
むらむら

むらむら