マンボー

JUNK HEADのマンボーのレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
3.9
異形の生き物の造形や生態、アクションの滑らかさと工夫は神がかった出来。

反面、下地となる物語の背景や、まだ物語がつかみきれない序盤のテンポ、発する言語の音声加工に粗さも感じ、脇役やその他大勢の造形は凝っているのに、主要人物の造形にどこかオリジナリティーを欠いているようにも見えて、作家一人が独力で作った作品独特の凄みと弱みの極端なアンバランスさに序盤は困惑し、終盤は楽しめた作品だった。

終盤にどこか深遠で観念的な雰囲気が漂い、その方向性を極めたら、ものすごい名作になりうる匂いを感じたが、ただただ凄惨な戦いで、さらに続くで終わってしまったのが少しだけ残念だった。

とはいえ、7年かけて本作を制作したその途切れぬ意欲と執念、大きなスタジオで作った作品に引けを取らないどころか、一部ははるかに凌駕し、突出しているとさえ感じられる造形と演出は見事という言葉に尽きる。
荒れ果てた世界観はやや単調だけど、遠大なるスケールを与えた描き方には感嘆するしかない。

様々な場面で凄まじいほどのすばらしさと、未熟さがにじむ違和感が去来し、それでも長所が短所を大きく上回っていたと考えたいが、作家と作品への本当の評価は、本作以後の作品を待つことになると思う。それでも本作を観せられると、どうしても、次回作にも大いに期待させられる。いやもう、これはすばらしい。