故ラチェットスタンク

JUNK HEADの故ラチェットスタンクのレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
4.0
こういう映画作る人が一番やばい。
撮影の大半を1人で行い7年間の制作期間をかけたストップモーションアニメーション映画
熱意という枠をとうの昔に超越してしまった狂気と執念のサイバーパンク

あらゆる既存ジャンルのブレンドに次ぐブレンド。
ジェームズ・ワン的荒々しいカメラ回し
ブレイキングバッド的なPOVショット
性器をモチーフとしたようなクリーチャーたちのデザイン
日本のお笑い的間の取り方
サイレント映画的俯瞰ショット
アメリカンなアイデア

既に観ていそうな物が多くありながら全くもって陳腐になっていないのが見事
様々な物に様々な物をくっつけることで独自の世界観を確立しています。

機械的な人間に対して、ロボットやクリーチャーたちが生物のようにフレーミングに映り込んでくる。
荒廃していて無機的
視覚的には死を想起するが、動いている姿、話している姿を観ていると生が宿っているとしか感じられない。
愛くるしい彼らの姿に癒される。
どのキャラも濃くて大好きでした。

ハリウッドアクション
日本アニメ的アクション
カートゥーン的アクション
既存のアクションのアイデアを多く取り入れつつも視覚的に楽しい作品に仕上げている。

サイレント、スラップスティック、日本漫才、シュールなタイプも自然と笑かすタイプも混ざり合ってギャグの内容が予想できない場面も何箇所かあった。

ビジュアルも荒廃したSFだとよく観そうな感じだけど同時に見たことのない雰囲気も称えている。
AKIRA的な退廃感とナウシカ的な生命賛歌とエヴァ的な無機物感が合わさって全く新しい世界観が作り上げられている。

先人たちの残した無限大にある既存のアイデアから、繋げて繋げて自分独自のものを作れる!
"物語を語る"ことにおいてどうしても何かの真似をする事になるという難しさのある昨今の創作活動全体へのアンサー、エールにもなっている作品に感じた。

構成や尺配分に拙さはあれども、これをほぼ1人で作り出したことに敬服を表さずにはいられない。

死と生、懐かしさと新鮮さ
互いに相反した要素が狂気と執念によって共存する101分

続編、待ってます。