岡田拓朗

JUNK HEADの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
4.0
JUNK HEAD

未来は、≪ガラクタ≫に託された。

海外の映画祭で世界に絶賛された、長編SFストップモーション・アニメーション映画が、満を持して日本に逆輸入!
エンドロールに流れる名前が、ほとんど堀貴秀監督でほぼ一人でこれだけのものを作られることにとてつもない凄さと可能性を感じられた。

独特で斬新な世界観に、何だこれはと呆気にとられながらも、いつのまにか惹きつけられ、釘付けになっていく。
キャラ造形も独特でどこか愛おしさを感じ、ちゃんと細かく作り込まれていて、ディティールまでしっかりとこだわってるように見えたのがまたよかった。
そういうしっかりとした作り込みにより、独創的でクセになる世界にちゃんと落とし込まれていて、違和感も全然なく、本当にこんな世界があるんじゃないか、未来に作られるんじゃないんかとも思わされる。

そんな世界観に、人間じゃない生物間における絆や恋愛、嫌な部分や適度なコミカルさが垣間見えたりと、人間が暮らす現実世界に転化できるようなことが描かれていくから、物語もわかりやすくておもしろかった!

そして、どう作ったんだろうと思うくらいにちゃんと迫力もあって、カット割りとか演出とかも本当にしっかりしていて、カルトやディストピアな雰囲気も感じられた。

ただし、物語に対しての深さみたいなところはそこまで感じられなかった(時間的にもそこまでは求めてなかった)から、本当にこの独特で斬新な世界観への没入を楽しむスタンスで鑑賞するのがよいと思います。

若干の製作過程がエンドロールで映し出されるが、とても細かく作業してそうな感じがあって、独学で、しかも7年もの時間を費やして、さらに個人制作としてわりと大掛かりなセットも使用してと、クリエイターとしての覚悟や胆力を果てしなく感じた作品でもあった。

本作だけでも十分によかったしおもしろかったけど、三部作の一つということなので、この世界観を物語とともにしっかり堪能するなら、他も観ないと思うし、観たいとも思わせてくれる。

こんな作品を、0からほぼ一人で作れちゃんだと思うと、純粋にわくわくできるし、芸術やクリエイターってやっぱり凄いなと改めて思わされたし、ストップアニメーションの可能性にも驚かされた!

さらに、天才性と変態性と努力と熱量が、かなりハイレベルに絶妙なバランスで感じられた。

もっと色々書きたかったけど、本当に興奮の連続なので、とにかく鑑賞してみて欲しいです!

そして、ぜひ三部作の他の作品も日本で劇場公開して欲しい。
岡田拓朗

岡田拓朗