鷲尾翼

JUNK HEADの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#624

【まとめ】
* 膨大な作業と壮大な世界観
* 生死を忘れた近未来の物語
* 7年の孤独が生んだ狂気

本作が堀貴秀監督がほぼ1人で約7年の歳月をかけて制作されたストップモーション・アニメーション映画。

フィギュアも全て手作りで、総ショット数が14万コマという膨大な作業量が映像から存分に伝わる。少し調べると、ストップモーションアニメは1秒に24コマ必要で、ティム・バートン原作の名作「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は約11万コマと言われている。

また、作品の世界観も壮大だ。
舞台は、永遠と言える寿命を得た人類が新型ウイルスによって、人口の30%が失われた遠い未来。登場するキャラクターや用語、それぞれに細かい設定があるのが恐ろしい。さらに、作品のために独自の言語を作ったのも、鳥肌が立つ脅威を感じる。

物語も、面白い。
主人公は、今まで永遠の命を弄ぶほど暇な人生を送っていた一般人。しかし、人類存続の危機を救うために、地下調査員に応募して、主人公は未知の希望が待っている地下へ向かう。生死の概念が忘れかけている世界では「天国」という存在が伝説となっている。そんな希望に満ちた天国を信じたラストは、ちょっと感動する。

本作は、堀貴秀監督の7年の孤独が生んだ前衛的な狂気がある。この気持ちはデヴィッド・リンチ監督「イレイザーヘッド」や塚本晋也監督「鉄男」を見た時を思い出す。
鷲尾翼

鷲尾翼