Stella

JUNK HEADのStellaのレビュー・感想・評価

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
4.2
独学で8年かけて、ほぼ一人で作品を作り上げたらしく、映画内では日本語とも、どの言語でも無い謎の言葉が使われているのですが…
行くよー=ダンボー、隊長=ポンチョなど、響きがなんとも可愛く笑ってしまう。


声優さんは、1人、2人他の方もいましたが、ほぼご本人1人。原作、脚本はもちろん、ストップモーションのキャラデザから使われてるセットの製作、動かして撮影って、凄い労力と思われます。
 
お話の設定もDistopia系でスチームパンクっぽい感じも好み。
地下に降り立った唯一の人間は、博士に身体を作ってもらい、ロボットとして生きる。地下には色んな形の生物と言葉を話す人形の生き物がいる。

地下でも同じ言葉が話されていて、普通にコミュニケーションできるのが不思議だが、話は進んでいく。
似たような形なのに、温厚で犬のようなのもいれば、すぐに殴りかかってきたり、赤い血の流れに触れるともぐらたたきのように出てくる凶暴なのもたくさんいる。

人間のロボットとユーモラスな掛け合いや不思議な生き物の動きにクスッと笑ってしまう場面も多いけれど、その世界の閉塞感や廃れた工場のような地下の暮らしはこちらの気分も少し暗くなってくる。

人類の未来が、地下でこんな風に過ごす事になるならかなり、絶望的だと思う。

また、椅子という存在を知らずに働き続ける人がいたり、だいぶ原始的。笑
ロボットを騙そうとして、他の生物に食べられてしまう人(素直でなにも知らないことをいいことに。)

ジャイアンに媚びるスネ夫のような人がいたり、男性が女性の尻に敷かれていて、女性陣がグルメツアーに行ってくると言うと、浮かれた描写は、製作者の日常を思わせたし、人間臭さみたいなものも表現されている。

人形で再現されているので、そこまでグロテスクではないけれど、血糊が流れたり、怖い生き物に追いかけられたり、食べられたりなどの描写は繰り返される。


最高傑作だったので、絶対見て!とまでは言わないけれど、これからエピソードや他の人と共作し出したら、もっと面白い作品を作れるんじゃないかと期待しています。3部作とのお話もあるので楽しみです。
Stella

Stella