踊る猫

ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生の踊る猫のレビュー・感想・評価

3.9
ドキュメンタリーとしては可もなく不可もなし。名匠ケン・ローチが、時に食い繋ぐためにしぶとく商業主義に屈してでも、役者となっても諦めずに映画を撮り続けて来たその道筋が関係者と本人に依って語られる。ここでケン・ローチが見せているのが素のケン・ローチなのか、それとも映画監督としてのケン・ローチなのかは分からない。多分どちらでもあるのだろうし、どちらでもないのだろう。表裏のない人なのだから。もう少し最近になってからの仕事(『SWEET SIXTEEN』制作の裏話など)に触れて欲しかったとも思わなくもない反面、ケン・ローチのルーツを見たい人には打ってつけの作品でもあると思う。個人的にはそこまでケン・ローチに肩入れしていないので感情移入出来なかった。そこが私自身の観衆としての限界なのかもしれない。自分の人生や眼前の現実をどんなことがあってもシリアスに直視しつつポジティヴに捉え続けるケン・ローチは、独善者なのか? それとも英雄なのか?
踊る猫

踊る猫