ノラネコの呑んで観るシネマ

累 かさねのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
4.5
いや〜コレは面白い!
演技の天才ながら顔に大きな傷を持ち、コンプレックスの塊の累(かさね)と、美貌を誇りながら役者として致命的な病気を抱え、スランプに落ちたニナ。
この二人がキスで12時間だけ顔が入れ替わる不思議な口紅を使い、“相互保管”の関係になる。
外見はニナで中身は累。
二人のハイブリッドは舞台の上で開花して行くのだが、彼女らの存在そのものが、虚構が現実を超えるナラティブ芸術のメタファー。
しかも、最初は「ニナが累の演技力を借りている」だったのが、次第に「累がニナの外見を借りている」構図に。
はたして真のホンモノはどちらか、一つの人生を二人の人格が奪い合う愛憎劇が、よく似た内容を持つ「サロメ」の舞台に投影されると言う凝った構造。
累とニナを、どちらも一人二役で演じる芳根京子と土屋太鳳のコンビネーション演技の仕上がり圧巻。
このコンセプトは役者に互角の実力がないと成立しないが、二人とも見事だった。
芳根京子がむっちゃ上手いのは言うまでもないが、今回は土屋太鳳という才能がいかに無駄使いされているのかよく分かったよ。
外連味たっぷり、邦画離れした見応えたっぷりのピカレスクドラマだ。
しかし、芳根京子は頬に大きな傷をつけても、やっぱりかなりキレイなのである。
あれならわざわざ入れ替わらなくても、舞台ならメイクでなんとかなる様な気がしちゃうのが、欠点と言えば欠点かな。
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