ニシカ

累 かさねのニシカのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
3.8
魔法の口紅を引いてキスすることで、2人が入れ替わる。その時間は12時間が限界。

いいですねー、ミラクルキャンディーでメルモちゃんがオトナの女性に変身する"ふしぎなメルモ"など古より遺伝子レベルでこういう非現実な設定を秒速で受け入れられる我々には大好きな設定です。

土屋太鳳、芳根京子の好演が素晴らしい。土屋太鳳は女優というより表現者レベルで天性のモノがある。劇中の舞台サロメで魅せる妖艶さ。ところが芳根京子もその土屋太鳳に随分と食らいついている。若き女優のスイーツじゃない演技により思っていた以上に見応えがある。あ!この二人、朝の連ドラ主演女優だった。可愛いだけではないわけだ。ただ、この映画にはバケモノ浅野忠信が出ており、存在だけで圧があり過ぎて女優さんの存在感や物語性を薄めてしまっている感じを自分は受ける。 ちょっとやりすぎ感がね、。

しかし、朝の連ドラ主演女優達の"下手な役者を演じる" "上手い役者を演じる" "自身を演じる" "他人を演じる"の四重奏が掛け算され、後半はスクリーンに現れた容姿端麗の丹沢ニナはどちらが入っているのかと物語に飲み込まれいく。

才能を求め美醜が入れ替わるので、生まれ育ちながら何年もかけて人格にこびりついた優越感やコンプレックスの人間の業的な部分に癒着した欲望が徐々に反転し強くなり、元の人格を変えてゆく。この内面の変化を観る作品だと思います。当たり前だが容姿が解放と鬱屈を如何に生み出すものか。

人は選べるとしたら、
才能か美しさか、どちらを選ぶのか。
そして、
二つ兼ね備えた方々がいるこの不公平な世界(笑)

両方無いけど、逞しく生きていましょー!

❇︎まぁ、多くは美しさを選ぶよね。
ニシカ

ニシカ