くりふ

ライースのくりふのレビュー・感想・評価

ライース(2017年製作の映画)
3.0
【撃った弾丸は自分に返る】

ネフリにて。インドとほぼ同時公開で、日本では上映会があった作品。

シャールク主演作ですが、インド映画のアイコンのようになってしまった彼は、個人的にはもう興味ないのですが、アイテムガールとしてサニー・レオーネが出ているのと、パキスタンの女優がヒロイン、というところに惹かれました。

禁酒法が施行されているグジャラート州で、酒密輸組織のドンとして成り上がって行く男の人生。なんでも、実在の人物がモデルとか。演じている本人は面白いのだろうし、そんなシャールクを見るファンも嬉しいのでしょうが、この主人公には、殆ど接点持てなかった。

ラストまでずっと“自業自得”という言葉がチラついていた。頭がいいか悪いかよくわからん。成り上がってから、市民のため様々な施策を打ち、地域のドンともなってゆくが、そもそも法を破った方が儲かるとズルして来た男。

こんなのを救世主のように持ち上げてしまうほど、インド民衆は心が貧しているのか、狂ったことに麻痺しているのか。…まあ、あのラストで帳尻合せたつもりなのでしょうが。

テンプレート化されたような定番展開で、ドラマで惹かれるところは殆どなかった。あと、殺したのは過ちだった…と悩みながら、その殺人シーンをエンタメで見せる矛盾映画って、もう化石なのでは?

背景に宗教対立を敷くことも、インド映画では定番でしょうか。でもこのおかげで、パキスタンでは公開当時、上映禁止になったらしいね。インド排斥のため政治利用された面が大きいのでしょうけれど。

あおりを食って、ヒロインを演じたパキスタン人、マヒラ・カーンさんも大変だったみたいね。マヒラさん、顔のパーツが丸みを帯びて、見慣れたインド美人とはちょっとズレており新鮮でした。人妻役の嵌り度がすごい…という顔ね。

アメリカでポルノスターとして成功し、ボリウッドに乗り込んだサニーさん、本作のダンスは期待ほど扇情的ではなくスッキリ味。でもやっぱり、彼女のシーンがいちばんの見せ場でありました。

<2018.12.21記>
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