偽名祐司

ハッピー・デス・デイの偽名祐司のレビュー・感想・評価

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)
4.2
ホラー+タイムリープ=笑いと感動という意味のわからない方程式が成り立つ作品
予告編観て2の存在も知ってこれは、と思い楽しみにしていましたが最高でした。
2の予告編は1見る前は忘れてた方が良いとは思いますが、まあそれはさておき。

話はアプリ参照で。9月18日の月曜日。
誕生日に知らない名前の男の部屋で目覚めた女子大生ツリーはその夜大学のバスケチームのマスコットキャラマスクを被った謎の男にナイフで襲われる。
そんな夢を見たような彼女は一日を過ごすがその夜またしても同じ展開を迎える。そして又同じ男の部屋で目覚めた彼女は流石に理解した。
同じ日を繰り返している。しかも最後に必ず殺される。
誕生日に死を迎えない為の彼女の奮闘が始まった。

作中でも思いっきり「恋はデジャブ」と元ネタを言っているのですが、タイムリープネタです。

そして中身は素晴らしく解り易いスラッシャーホラー。
主人公がこれまた解り易いスラッシャーホラーで最初に必ず殺される典型的なタイプの女子っていうのが面白い。

簡単に言うと、「性格悪くて」「スタイル良い美人」で「エロくビッチである」っていうのがテンプレなのですが
主役のツリーがもう完全に観客に嫌われる設定。最初の一日の過ごし方で解り易く見せてくれます。
名前知らない男・カーターの部屋で目覚め、「連絡返して?」って現れる男を返す返事で一撃で叩き切り、ルームメイトのロリが作った誕生日カップケーキを投げ捨て、大学講師の医者バトラーと不倫をし、女子寮の先輩ダニエルが気になる男を先取りする始末。作中で言われてるが最悪である。

こんなツリーが何度も殺され、一日をやり直し、生き延びる為に犯人を捜し出す。そしてそのうちに人間関係を見直して彼女自身も成長を遂げる。という流れ。

タイムリープネタは色々ありますが、スラッシャーホラーにしたのは新鮮で、何より最終的に殺される事が解っているので普通なら一度はやる金儲けや悪巧み、的な遊びがありません。…その代り新しい性癖を試してみるシーンが炸裂しますが。あのループで生き延びたらどうするつもりだったんだと。

一日で起きる事もゲームのイベントの如く解り易く演出しており観客も覚えやすいです。そして何度も死ぬ彼女の顔芸の豊かさ。二日酔いの顔の酷さも1級品です。

きちんと段階を踏み、犯人を絞り込み、その過程で大事なものや人間関係の真実を知る所も良いですね。ちなみにビッチなツリーが真面目なカーターに「酔っ払ってたし泊めただけでやってないよ!」で「え、やってないんだ?(キュン)」になる流れもチョロく解り易くて最高でした。笑うしかない。

最後のループ時の全て理解してるツリーの全能感、生き延びると決意した時の格好良さも格別です。もはや別人かよ。ラストに定番ではあるもう一捻り(といってもこれもベタですが)が用意されて実に安定な結末でした。

ホラーなので「そもそもなんでループするの?」に作中で説明つける必要が無いのがまた良いです。
普通なら「ループの条件は?」「原因は?」「何故彼女だけ?」とかとにかく理由が必要なんですが今作の場合、「理由なんてどうでも良いから(むしろ毎日やり直せてラッキーなので)まず生き延びる」がそのまま「ループから抜け出す」条件になってます。
なので理由が特に必要が無いのです。ホラー映画の良さをうまく利用してます。っていうかその辺は2作目でやるから良いだろ?的な感じです。

ホラーの入口からギャグ的スラッシャー要素が入り、主役の成長物語になり、自らを見つめなおす姿に感動するという、もはや後半ホラーどこ行った位の勢いのごった煮作品。
ホラー要素苦手じゃない人ならぜひ見てほしい傑作です。
偽名祐司

偽名祐司