てっぺい

ハッピー・デス・デイのてっぺいのレビュー・感想・評価

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)
4.0
【ループにハマる映画】
主人公が無限ループにハマる映画。ホラー要素だけでなく、サスペンスもラブロマンスもある豊富さと、鮮やかな伏線回収。あのユニバーサルのOPクレジットすらループする映像の工夫に、続編の鑑賞に強制的に進んでしまう、まさに自分もループにハマる一本。
◆概要
製作:「ゲット・アウト」ジェイソン・ブラム
監督:「パラノーマル・アクティビティ 呪いの印」クリストファー・ランドン
出演:「ラ・ラ・ランド」ジェシカ・ロース
◆ストーリー
遊んでばかりの女子大生ツリーは、誕生日の朝も見知らぬ男のベッドで目を覚ます。ナイトパーティーへの道すがら、彼女はマスク姿の殺人鬼に刺し殺されてしまう。しかし気がつくと、誕生日の朝に戻っており、再び見知らぬ男のベッドの中にいた。そのループの中でツリーは、殺人鬼に立ち向かうが……。
◆感想
何度も同じ時間にループするシチュエーション・ムービー。ホラーではあるものの、犯人探しのサスペンス的なドキドキと、見事な伏線回収がメインで、練られた脚本に舌を巻く。“無限ループ”の絶望感がオープニングのクレジットからプレエンドロールまでビッシリ。工夫が詰まった映画。
◆シチュエーション・ムービー
このフレーズが適当かは置いといて、本作は「クワイエット・プレイス」「ギルティ」のように“ある一定の条件下”で物語が進む一つのジャンルの類い。自分の好みかも知れないけど、「メメント」や「キューブ」含め、このシチュエーション・ムービーにはハズレがない。自分も本作のように無限ループにハマったらどう行動するか?考えながら、いつの間にか自分も主人公になったつもりで見てしまう、独特の没入感がある。

◆以下ネタバレ

◆ホラーサスペンス
始めの数ループは、あの仮面の殺人鬼の恐怖に圧倒されるホラー。特にループ0番目の、トンネルで立ち尽くす仮面が「アス」のクローン家族のようで、完全にホラーだった。ループを繰り返すにつれ、それが次第に犯人探しのサスペンス映画に変わっていくのも面白い。後述する映画表現で、そもそもなぜこのループが起きたのかを説く哲学的な映画なのかと思いきや、きっちり犯人が分かる、サスペンスとしてまとまった映画。特に、連続殺人犯のトゥームズを仕留めて映画が終わったと思わせる後のループには、一体誰が犯人なのか、頭がフル回転。脚本にまんまとやられた印象だった。
◆無限ループ
ユニバーサル・ピクチャーズのあのクレジットがループするオープニングクレジット。そしてロリを倒した後もさらにループに入ったようなラスト。最初から最後まで無限ループの絶望感を描く、練られた工夫もニクイ。
◆脚本力
そういえば冒頭で「報いが起きるわよ」と話していたロリのシーンに見る、伏線の張り方。カーターの部屋の扉のステッカーが“最後の日”から“最初の日”に変わるラスト。この映画を“ハッピー・バースデー”から逆転の発想でつけたタイトル。トゥームズが犯人と思わせてそうでない展開も含めて、本作は脚本力が光る。見終わった後でなんだかすごい映画を見たワクワク感も湧いてくる。劇中“猫に九生あり”とツリーが話すシーン。この脚本の巧みっぷりからすると、おそらく本作で合計9回ループを繰り返していると読む。(後で確認したら11回でした笑)
◆映画表現
仮面に車で追いつかれたシーン。ガラス越しのツリーと、それに反射する仮面の表情が同じ位置に。これは、ツリーが仮面と同一人物だという、散見する映画表現。なのでこの映画は犯人がいる訳ではなく、ツリーが自らにループを課し、自らを浄化する哲学映画、、にまとめるのだと勝手に妄想してしまいました笑。あのガラスの表現が何を意味していたのか、分かる方がいたら教えてください!

フィルマークスでトレンド上位にあり、前から気にもなっていたので軽い気持ちで鑑賞したけど、中々の上質映画でした。当然ながら、今から自作の「ハッピー・デス・デイ・2U」鑑賞に入ります笑
◆トリビア
監督のクリストファー・ランドンは、あの『大草原の小さな家』の一家の大黒柱、チャールズ・インガルスを演じたマイケル・ランドンの息子。(https://cinemarche.net/horror/happydeathday-john/)

他にもレビュー載せてるのでよかったら↓
https://www.instagram.com/teppei_movie/
てっぺい

てっぺい