ジャン黒糖

ハッピー・デス・デイのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)
3.9
誕生日にベビーマスクを被る謎の人物に殺された女子大生ツリーが目が覚めると再び同じ誕生日の朝に戻り、何度も自分が殺される日を繰り返す姿を描いたタイムループ映画。
なぜ誕生日をずっとループするのか、ベビーマスク姿の犯人は誰か。

監督は『パラノーマル・アクティビティ』シリーズの監督・脚本などを務めたクリストファー・B・ランドン、制作は数々のホラー映画ヒット作を連発してきたジェイソン・ブラム。

アメリカ映画には、90年代後半における『スクリーム』『ラスト・サマー』、2000年代前半における『ファイナル・デスティネーション』など、ホラーというジャンル映画にティーンムービーを織り交ぜた作品群というか、系譜がある。
本作『ハッピー・デス・デイ』は、劇中でも出てくる『恋はデジャ・ブ』や、『ミッション:8ミニッツ』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』などをはじめとする"タイムループ"ジャンルをホラーに取り入れた、まさに2010年代後半に誕生したホラー×ティーンムービー最新版だと思った。

これらホラー×ティーンムービーとしても、タイムループ映画としても、どちらのジャンルを切り取ってもしっかり各ジャンルの王道どころを抑えていて面白かった。
観ている観客側も、主人公ツリーを気遣う男子学生カーターも、タイムループするのなら当然頭をよぎってしまう、「何度も死ぬのなら犯人を見つけるまで死ねばいい」。
これに対する劇中設定、死ぬたびにその負担が本人にのしかかるという設定もタイムループという設定ながら無理がないのもいいし、徐々に体が限界に近づくなかで犯人を探さないといけない、という制約が物語にしっかりダレさせない作りにもなっている。

また、タイムループという設定ゆえ、さっきは見えていなかった視点が徐々に明るみになってくる、というところも推理ものとしての魅力にも繋がっていて楽しい。
ネタバレにならない範囲でいうと、真犯人像もかつての『スクリーム』同様、ホラー×ティーンムービーらしく、「細かいところ気にしだすと気になるかもしれないけど、一旦気にせず、犯人めっちゃ意外じゃん!びっくり!」となるのも気持ちよかった笑

ただ1点、本作1本だけで見ると結局のところ主人公ツリーがなぜ同じ誕生日を繰り返すのか、というタイムループそのものにまでは結論が行き着かないため映画全体は非常に痛快で笑えるけどそこだけ若干スッキリしない。
その辺りは続編『ハッピー・デス・デイ2U』のお楽しみに、といったところか。
ジャン黒糖

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