ベルサイユ製麺

アンシーン/見えざる者のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

アンシーン/見えざる者(2016年製作の映画)
3.3
どんな映画だろう?とワクワクする余地も与えてくれないパッケージ!ああ、そうね!

カナダの雪深い陰鬱な町。巨大な製材所で単身働き、家族に仕送りする男ボブ。残された妻は同性のパートナーを作り、多感な年頃の娘・エバは反抗ばかり。家庭はギスギスです。ある日娘が手に負えなくなった妻から懇願され、ボブはついに故郷の街に戻る事にします。しかし、見るからに体調の悪そうな彼にはある秘密が…。彼、透明人間なの!!あ、書いちゃった!でも、このジャケットですものね…。もうドキドキもさせてくれないの。
つい最近自覚したのですが、どうやら自分は“寂れたカナダの描写”フェチらしくてですね、もう映画でカナダをうろうろしてるだけで好ましく思えてきてしまうのです。寂れてるわぁ。今作は恐らくなかなかの低予算作品だと思うのですが、寧ろその事でより好みの作風に近づいてる感も有りますね。というか、そもそも今作は透明人間の要素無くても好きなくらいかもしれない…。
行方不明になった娘を探す為に父さんが奮闘するお話で、具合の悪い怪物父さんが娘を助ける、となると『ローガン』の事を思い出しちゃいますが、まあ完全に的外れでも無いように思います。うん、そこいらも含めてやっぱり好きな雰囲気ですよ。
ストーリーは意外と練られていて、中盤のある出来事と終盤の展開は結構良い!と思いました。終わり方は夢があって良いですねー。透明人間の存在を完全には否定出来ない気がしてきます。見えない何かに蹂躙されたい!無知さ無力さをもっと思い知りたい…。
今作には直接関係無いのですが、匿名で発言するSNSとか、人間の姿が直に見えない環境では、その人の本性が拡張されて表面化されると思うのです。さあて、自分は透明になったら何するだろうな。…ぐふふ、普段出来ない事を感情の赴くままにやりまくってやるぞ!例えば、なんとなく気後れして見た事がないユーチューバーの動画とか見てやる!あと、川で仔犬が溺れていたら飛び込んで好き放題助けてやる!御年配の重たそうな荷物をそっと持ち上げてしまうし、駅前の路上のガムなんて剥がしまくってやる!ガッハッハ!!

…はあぁ。
個人的には、このくらいの落ち着いたトーンとバジェットでモンスターユニバース作品を実現してもらいたいなーと思ってます。『ザ・マミー』みたいな風情の無いやつじゃなくてね。

あと、流石カナダ!クマちゃん出てきます!クマクマメーターは2🐻です!(一頭は死にま…)