にっこりテリー

祈りの幕が下りる時のにっこりテリーのレビュー・感想・評価

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)
3.8
公開したので改めて。

テレビシリーズであったことによる「ドラマを観なければわからないキャラクター」の存在が邪魔ではあったものの、一つの物語としては、東野何某曰くの「砂の器」オマージュの原作をしっかりとした邦画に仕上げた印象。
「名監督(巨匠)はデカい」を地で行く福澤監督の演出は見事にハマっており、原作ありきのこのシリーズのフィナーレを至上のクオリティで仕上げていた。
と言うのも、軒並み凡作駄作が続く邦画メジャーにおいて(インディは置いておいて)「観れた」と言うことは、隣国の優秀なサスペンスやそれらとこの作品のクオリティが肩を並べている事を心の何処かで察知し、気が付けば「没入」していたと言う事だ。

演出もさる事ながら、小日向文世、音尾琢真、上杉祥平といった「いい顔」の俳優陣の巧みな芝居に加えて、桜田ひより、そして飯豊まりえの驚かされる程の素晴らしい芝居が作品の底力になっている。

残念な事に、TBS派生物件である以上過剰なエログロや凄惨な描写は希薄だが、原発の危険性を匂わせる展開を含め、報道機関でありながら社会的反骨精神を持った作品に仕上げて来たTBSの気概、と言う点も含めかなりの良作(気骨のある)作品であると感じた。
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