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祈りの幕が下りる時のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)
4.7
東京都葛飾区小菅にあるアパートで、絞殺された女性の遺体が発見された。
被害者はハウスクリーニングの会社に勤める滋賀県在住の押谷道子。殺害現場であるアパートの住人・越川睦夫も行方不明になっているが、押谷道子との接点が全く見つからず、松宮(溝端淳平)たち警視庁捜査一課の刑事たちによる捜査は難航する。
やがて、押谷道子は学生時代の同級生である演出家・浅居博美(松嶋菜々子)を訪ねて東京に出てきたことが判明するも、浅居博美と越川睦夫との間にも接点はなかった。
そんな中、近くで発見された焼死体との関連を疑う松宮。その遺品の中には、日本橋を囲む12の橋の名の書き込みがあった。
以前から加賀の母の同居人を探していて、それを知った加賀恭一郎(阿部寛)は激しく動揺。孤独死した加賀の母(伊藤蘭)の遺留品にも、同じ書き込みがあるカレンダーがあった。
加賀が、浅居博美の過去や周辺を調べていくと、浅居博美には幼い頃に置いて出て行った母(キムラ緑子)がおり、殺害された押谷道子が老人ホームに居候していた浅居博美の母に偶然会っていたこと、浅居博美が過去に堕胎していたこと、浅居博美の父親が借金を苦に自殺していたことなどが分かってきた。
そして浅居博美が、加賀と以前関わりがあったことにも何か意図があり、加賀と浅居博美には繋がりがあることを感じた加賀は、加賀の母が失踪した理由、加賀の母の同居人の正体に繋がる事件の真相にたどり着く。
テレビドラマから続く「新参者」シリーズ完結編。
今回は、ある絞殺事件が加賀恭一郎の過去に繋がるというシリーズの中でヒューマンドラマ色が強いミステリー。
加賀の母が失踪した理由、そして今回の絞殺事件、浅居博美の周辺の事件には、悲しいほどの親子の愛があった。
絞殺事件があったアパートの部屋の住人の越川睦夫と現場近くで焼死体となったホームレスの関係、浅居博美と押谷道子の関係、浅居博美の秘めた過去が、次第に繋がり真相が見えてくる緻密なミステリーは健在。真相に秘められた悲しいほどの親子愛は、「砂の器」さながらに悲痛で泣ける。
「新参者」シリーズ完結編として見事なオチをつけたヒューマンミステリー映画。
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