NEWおっさん

祈りの幕が下りる時のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)
4.0
「26年の親子愛に幕が下りる。」

原作は東野圭吾「加賀恭一郎シリーズ」を連続ドラマ化した「新参者」、2度目の映画化。この作品でシリーズはついに完結。完結編としてふさわしい、加賀自身も深く関わる事件を最後に扱う。

結論から言うと、良かった。号泣した。予告やポスターから分かるように今回のキーポジションは松嶋菜々子演じる舞台監督の浅井宏美。この舞台監督てのが只のお飾りになっていなく、タイトルからも分かるように演出的に一回りも二回りも事件の切なさにグッと深みを増してくる。

その舞台の幕が下りるまでのミステリー部分も安定の面白さなんで安心。まあ事件の犯人的には大体の人が予想付くだろうし、あくまで何故そうなったか、動機の部分に重きを置く作り。新参者シリーズ自体その傾向が強いが、今作はその極め付けとも言える。真相が明かされていく内に親と子の絆に終わりがくると思うと胸を締め付けられる思いがあった。もう最後らへんなんて泣きっぱなしだったわ。松嶋菜々子は久しぶりに見たけどこんなに貫禄あったっけってぐらい良かった。

字幕説明がやたら多かったのがなんか嫌だったのと、事件のラストに関してはちょっと納得いかなかったぐらいの不満はあるけど、基本的には良かった。これで本当に終わりなのか。「新参者」が終わりなだけでなんか何事も無かったように新作をやりそうな感じもするが、まあお疲れ様でした。

—————ここからネタバレ—————






















父親を絞殺するのはどうかと思った。女の力じゃ絞殺自体難しいって加賀が言ってるのもミスリードなんだろうが、実際本当に難しいだろうし。何より娘の幸せを願うなら、そこは娘に罪を犯させちゃあダメだろう。結局それで最後には罪に問われてるワケだし。ここがちょっとドラマありきで作ったような感じでちょい冷めた。

あれだけ壮絶で過酷な人生を送ったんだから、せめて娘の浅井裕美だけは真相が明かされた後も救いがある終わりにして欲しかったな。