穂苅太郎

犯罪の女王の穂苅太郎のレビュー・感想・評価

犯罪の女王(2016年製作の映画)
3.5
なかなか今までにないポップでダサい味を出していて悪くないと見続けてみたのだが。最後まで観ての正直な感想は“惜しい”これに限る。

主人公のオンマのキャラは絶妙に設定されていて、特に料理や服装の何とも言えない趣味の悪さ、例えば料理は絶対に美味しいし、やけに色っぽかったりもするのだが、料理だったら盛り付け、ファッションだったら色感覚が尋常ではない。息子が嫌がる母親のパターン。

ロケーションとセットも良い。おんぼろアパートを絵にかいたようだし、何より不潔だ。ここにリンクしたオープニングもよくできてる。実家の美容院などの散らかりようもいいセンスだし。

部屋番号で区分したアパート住人のキャラ付けもキャスティングも独特で良し。

とここまでで韓国映画におけるオリジナリティを持った、なかなかの傑作が完成するはずだった。ある程度予想できてしまうとはいえストーリーも脚本も悪くなかったのに、ラストの本当に大事なシーケンスが失敗している。(以下ネタバレ)


犯人との対決シーンのアクションの撮り方が絶望的に失敗している。犯人を決定付けるナイフの存在と、上手く行ったらびっくりするような伏線回収になっていた注射器があまりに唐突で論理構築ができていないのだ。各人物の位置配置描写も曖昧な結果、そこで何が起きているかよくわからない。このシーケンさえうまく撮れていたらと思うと、本当に惜しい。
穂苅太郎

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