サンヨンイチ

シンプル・フェイバーのサンヨンイチのレビュー・感想・評価

シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)
3.7
こよなく愛す御方
ブレイク・ライブリーの主演作品とあって、
それだけで満点をつけたい作品。
本当に美しく魅力的で惹かせる。
序盤、字幕追わずに顔面を追う。
その上、アナ・ケンドリックとのダブル主演とあっては劇場で観ないわけにはいかない。
ムビチケ買ったわ。

夫を事故でなくし、その保険金と動画ブログのささやかな収入で生計を立てるシングルマザーのステファニー。
ある雨の日、子どもを迎えに行くと同級生のママであるメアリーと衝撃の出会いを向かえる。
有名ブランドの広報を担当するメアリーは作家の夫を持ち、おしゃれで豪華な暮らしを送っていた。
嫉妬や羨望を通り越し、ドギマギするステファニーだったが、子どもたちを遊ばせるうちに次第に仲良くなっていき、子どもを預かったり二人でマティーニを呑みながら誰にも言えない秘密を明かし合う仲に。
そんななか、メアリーはステファニーに子どもを預かるよう依頼したのち、突然の失踪。
行方もわからぬまま数日が経ったとき、湖から彼女の遺体が見つかったとの訃報が入る。
ミステリアスに包まれた彼女の身に起こった真相とは。

ミステリーチックですが、
トリックは割りと禁忌に手を出しているというか、
トリックもくそもあるか、という一種の諦めすら感じる。
まあ、作風からして謎解きをメインに据えている訳ではなく、
登場人物が秘めている人格や
眠っていた本能を描く作品。
そうなると、題名のシンプルフェイバーっていうのが若干どうなんだろうかとは思います。
大分前半で影を薄めていて映画全体で重要な位置付けにあったかというとそうでもない。

謎が明かされていくにつれて、
謎めいていたメアリーの人間的醜さや
がむしゃらに己の勝利をもぎ取ろうと掴みかかるような感じ。
対照的に終始ダサくはありながらも、形成を逆転させていくステファニー。
二人の会話劇は圧巻で、汚い言葉遣いや女性同士の罵り合いは
ポールフェイグの真骨頂だとか。
それをコメディだけでなく、こうした映画のラストシーンにも持っていけるようなオシャレな演出だし、違和感なく見られる。

全体的におしゃれで鮮やか。
音楽も好み。
こうした非現実的な家に
スッと入り込んで、なおかつ
自身の妖艶さを際立たせる女優として
ブレイク・ライブリーはもはや不可侵の領域にあると思う。

映像の97%くらいはアナとブレイクなので
視力回復の為の映画。