カツマ

シンプル・フェイバーのカツマのレビュー・感想・評価

シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)
3.9
ミステリアスは蠱惑な香り。まるで手招きするように、不敵な笑みは浮かんで消える。平凡な日常に突如として巻き起こる謎。それはムクムクと成長し、次第に危険な匂いを放ち出す。綺麗な薔薇には棘がある、だからこそ、触れられずにはいられない。そんな魅惑のサスペンス、誘惑にも似た濃霧のような醜面の影。

アナ・ケンドリック、ブレイク・ライヴリーによる人気女優競演が拝める王道感溢れるサスペンス。軽快なサウンドトラックのキャッチーさとは裏腹に、その物語は映画化にピシャリとハマる構築美。謎が謎を呼ぶ展開が最後まで継続し、良い意味で何度もこちらの予想を裏切ってくれる作品だった。サスペンスの醍醐味はやはり展開力と構築力。そこに魅力的な謎があれば絶品のメインディッシュが完成する。

〜あらすじ〜

シングルマザーのステファニーは料理や子育てのブログを運営しながら、亡くなった夫の生命保険を頼りに息子と二人で生活してきた。そんな彼女のブログにとある衝撃的な話題が舞い込んでくる。子供繋がりで出会ったママ友のエミリーが子供を置いて失踪してしまい、ステファニーは彼女の目撃情報をブログを通じて求めていたのであった。
二人の出会いは子供同士の取り留めもないやりとりから始まり、ステファニーは豪華絢爛で美しいエミリーの生活に憧れるかのように接近していった。次第に二人は親友になり、ステファニーは忙しいエミリーの代わりに、彼女の子供の面倒も見るようになっていた。
そんなある日、ステファニーはいつものようにエミリーに頼まれて、子供たちの迎えに行った。しかし、エミリーはそれ以降行方不明になってしまい、ステファニーは何とかして彼女の居所を突き止めようとするのだが・・。

〜見どころと感想〜

最大の謎である『エミリーはどこに行ったのか?』のパートが速攻で訪れるも、そのままその謎一辺倒となっていないことが今作を大いに面白くしていると思う。次の謎へとスパンが短く、謎が解き明かされると次の砦が現れる展開は、主人公のステファニーの心情さながらに煙に巻かれること間違いなし。原作はダーシー・ベルによる2017年作『ささやかな頼み』から取られており、原作の素晴らしさは映像にもしっかりと反映されているようだ。

謎めいたママ友を演じたブレイク・ライヴリーの圧倒的な美しさも素晴らしかったが、やはりアナ・ケンドリックが役柄にやたらとハマっていたことが今作をリズミカルに魅せている。彼女の魅力でもあるポップさと、腹黒そうな話ぶりがステファニー自身にも仄かに闇を抱かせる。監督のポール・フェイグは最近は『ゴーストバスターズ』などを撮り、ハリウッド大作もお手の物。滑らかなカメラワークに違和感なく引き込む手腕は、地味だがとても自然であった。

エミリーはどこへ行ったのか?ステファニーとの間に何かがあったのか?誰が嘘をついていて、誰が黒幕なのか?その謎はエンドロール前には確実に解かれているし、終わってみればだいぶスッキリさせてくれる作品でした。

〜あとがき〜

映画館で見逃していたので配信でようやく見れましたが、タイトル通りというかシンプルに面白かったですね。

二人の女性の関係性のどうしようもない胡散臭さ。誰もがイチモツを抱えていそうな人間の裏の顔。それが暴かれた時、物語は急にスピードを増して動き出すことでしょう。上質なサスペンスを見れた、という満足感が強く残った作品でしたね。