来夢

ミスター・ノーバディの来夢のレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
4.4
『人生は選択の連続である』とはシェイクスピアの名言。もしあの時別の選択をしていたら、を描いた青春映画は岩井俊二の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」。そしてもし本来出来ないはずの複数の選択を同時に行えたなら、という矛盾を見事に映像化した2010年代の新たな名作が、この映画「ミスター・ノーバディー」。最近の同名アクション映画とは無関係です。矛盾という限界を人間が超える為には想像力しかないわけで、そういう想像を具現化できるっていうのは映画が持つ最大の魅力だと思うんだよね(俺はそういう音楽をやってるつもりだけれど)。
どんな選択をしても正解も間違えもないけれど、自分の後悔を最小限に抑えるために選択をするのかもしれない。でもその通りにならないのが人生。色んな後悔を含めて自分が成り立っている。もし選択をコントロール出来るのであれば、それはもはや人ではないよね。そんな未来を踏まえて彼は何を選択して生きていくんだろう。たくさん想像してこの人生を生きていきましょう。
ってちょっと哲学的で難解かもしれない映画ですが、8割は甘すぎるラブストーリーなので、素直に胸キュンしてください。
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