亘

ミスター・ノーバディの亘のレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
4.5
2092年"最後の死ぬ人間"ニモ・ノーバディがインタビューを受ける。しかし彼の話は十何通りもありそれぞれ矛盾していた。

「ヨーロッパ版『バタフライ・エフェクト』」という感じで、いくつものパラレルワールドを並行して見せるけど『バタフライ~』と違うのはそこに芸術性が加わって、時間の概念も数次元増えたような感じで話も壮大で複雑であること。でも見ごたえはあってバタフライ効果とかパラレルワールドを描いた作品では一番好きかも。

ニモの両親が離婚するときどちらについていくか。そこがまず第一の選択。そこから海辺でアンナにかける言葉が違っていた場合、エリースに告白していた場合、ジーンと踊っていた場合・・・といくつにも分かれる。でもどれもきっかけは小さなことで、ニモによればどれも真実。

終盤インタビュアーに「選択肢が分かっていて選べないからとどまる」と話す。これは将来がわかってると前に進めないってことかな。
いずれにせよ自分はどれかの道の上にいて、他の道には今からは行けない。だからこそ他人にかけるたった一言みたいな小さな選択でもしっかりしていきたいなと感じた。

ともかくレビューをなかなかうまくまとめられない作品。

印象に残ったシーン:結婚式場の3つの扉からそれぞれ出てくるシーン。インタビューを受けている世界が崩壊するシーン。
印象に残ったセリフ:「どの道も正しい道だった」「人生には他のどんなことも起こりえただろう。それらのどれも同等の意味があったはずだ」

余談
主人公ニモ・ノーバディの名前"ニモ"はラテン語で"誰でもない"という意味らしいです。だから彼の名前はノーバディ・ノーバディみたいな感じでしょうか。
亘