竜平

ミスター・ノーバディの竜平のレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
3.7
断片的なシーンの数々と、複雑なストーリーと、幻想的な映像で綴られる異色すぎるヒューマンドラマ的SFファンタジー。

「人生」というものを今まで味わったことのない角度から描写してくる。一人の男の一生を軸にして、題材となるのはパラレルワールドやタイムパラドックスといった類の、非常に哲学的で難解なもの。途中でテレビ番組のような解説が入ったりして、なんかのドキュメントでも見てるかのような気分になる、のは俺だけなのかな。いやしかし、とにかく抽象的な、観客に解釈を任せるようなそんな内容である。一応あらすじを書いといたほうがいい気がするから書いとくけど、舞台は不老不死が実現した未来、118歳の主人公ニモ・ノーバディは人類最後の「老衰で死ぬ」男、そんな彼の過去を掘り下げていく中で見えてくる摩訶不思議な人生。ストーリーが進む中で彼がしれっと語る様々な選択肢、それによって見えてくるいくつもの可能性。失敗や後悔というものでなく、もっとポジティブなメッセージ性が根底にある気がしてそこには好感が持てる。青春時代のラブロマンス模様にはキュンキュン。ジャレッド・レトーの七変化も楽しいところ。

文章で今作を説明するのは難しい。内容は個人的に嫌いじゃない、むしろかなり好み、であるが故に最後まで飽きずに見れたし、またそのうち見たいとも思う。ただこーゆー映画は一歩間違えると迫力推しになりがち。せっかくの内容なのに消化不良な部分も多かった印象。で、この点数。もう一回言うけど、嫌いじゃない。
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