ヒロ

桜桃の味のヒロのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
5.0
思いつめた男がひとり車に乗りイランの砂塵巻き荒れるジグザグ道を進みながら自殺幇助してくれる人物を探す旅を描いた生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言生きてるだけで丸儲け映画。そこにはCGも無けりゃ特機撮影も無い。制作費なんて2桁、あるいは1桁かも。ゴミを売って故郷に仕送りするもの、若い軍兵、砕石機の見張番、神学生、剥製師。死ぬなよ生きろ、っていう老若男女森羅万象に当てはまるグローバルなテーマをこんなにもローカルな視点かつ単純な手法で撮ってしまうその凄さと映画そのものが持つ本来の意義を再確認。いやむしろローカルにこそグローバルが潜んでいるのではないかと、無いものばっか見てないで今持っているもの大切にしろや、“映画はグリフィスで始まりキアロスタミに終わる”っていうゴダールの言葉が真の意味で理解できたような気がする。人生なんて捉え方次第さ、視点を変えてみろ生きているから死ねるのさ、まぁあとは各々で頑張れや、というメッセージが込められた衝撃のラスト、、、なんて言われているがあれは必然だしキアロスタミは完全に全てを計算して撮っている。だからこそ凄い。ほんまにマジで死ぬほどいい映画。さくらんぼは嫌いだけど明日も生きようと思った。
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