ねぎおSTOPWAR

桜桃の味のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.4
キアロスタミのカンヌパルムドール作品ということでとても楽しみにしていました。
なるほどねー。
個人的には「友だちのうちはどこ?」のほうが良かったし、パルムドール相応しい気がします。みなさんはどうでしょう?



端的に言えば、自殺を決意した男が、手助けしてくれる人間を探す映画です。

出てくる男たちはアフガン戦争に疲れてイランに逃げ込んだ2-3万人のうちのひとりだったり、兄弟が多く軍人にならざるを得なかった若者だったり・・そしてかつて同じように考えた男に出会う・・。

乗り合わせる男たちによって、イランの現状が垣間見える構造で、車に仕込まれたカメラは静かに運転席と助手席を捉え続けます。言っちゃえばこれ単調過ぎて眠気を誘います。例えば同じ構図での主人公の表情の変化を表そうとしているのなら、イラン人にはわかるかもしれないけれど、わたしにはよくわからない。
おそらくこの自殺を決意した理由が語られないのは、観る人間が自分の悩みを重ね合わせ同調することを狙っているのでしょうか。



ひとつ、本当に解せないのはラスト。
画質の極めて悪いメイキングみたいな映像の意味を、ずーっと考えてみたけどわからない。
本編は撮影している存在を消すように作られているはずなのに、なんか最後に「ウソだぴょーん」とか言われた気持ちなのだ。