フライ

桜桃の味のフライのレビュー・感想・評価

桜桃の味(1997年製作の映画)
3.7
カオス!正にカオス的な始まりに主旨が何なのかサッパリ分からなかった。だがストーリーも中盤近く迄来て自分が感じたカオス感に納得出来た。
虚ろな目でひたすら運転する中年男性。色々な人に声をかけては煙たがられを繰り返す内に不審な行動理由が分かる。それは余りにも理不尽で身勝手な内容。聞いてるだけで嫌な気分全開ながらもそんな彼を通して交流する人達の話はイランの複雑な現状やイスラム教徒の宗教観迄見えてくる。最後に出会った老人の話は、無骨ながらそんな彼を励ます内容に観ている自分迄励まされているような錯覚に陥ってしまった。ドライブ中のイランの荒涼とした大地は何とも言えない物悲しさを感じたが、老人を職場に送る際の道は木々が美しく色付き、活気に溢れる街は男性に喝を入れている様に感じた。老人の話しともリンクするラストシーンは見る人によって感じ方が違うような気もするが…自分は勝手に良い方にとった。
相変わらず独特のカメラワークと雰囲気は唯一無二と言っていいだけに不思議な感覚にさせられた。最後も独特。
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