幕のリア

クワイエット・プレイスの幕のリアのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
4.5
ジョン・クラシンスキー監督は主演のエミリー・ブラントと結婚、作中でも夫婦を演ずる。
子役には『ワンダー』でのイケメンぶりが話題になった ノア・ジュプ君と『ワンダーストラック』で科白が無い中で渋い演技を見せていた渋面のミリセント・シモンズちゃん。

声を発せない世界。
ノイズを立てられない世界。

スマホをはじめとした技術革新で情報を得る事も意思表示を発信する事も容易になった現代。
果たしてそうだろうか。
情報は与えられている事を錯覚しているだけかもしれない。
迂闊に発信した意思は曲解され誤解を生んでいるかもしれない。
興味の赴くまま気軽に得ようとする情報に好悪以上の意味があるだろうか。
スノーデン事件からはや5年。
個人の情報なぞその気になればすぐに丸裸にされるだろうし逃げも隠れも出来ない。

スリラー作品、ホラー作品なぞとは括れない余りに内省的な描写と、迫り来るモノに立ち向かう知恵や結束に心打たれる。

テーマを見事に消化するクライマックスもお見事。

本年度ベスト級の快作。
幕のリア

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