してぃぼ

クワイエット・プレイスのしてぃぼのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
4.1
劇場全体が静まり返るあの感じは「ドント・ブリーズ」を思い出しました。しかし、隣のやつのポップコーンの咀嚼音がうるさい!登場人物よりはるかにうるさかったし、化け物に食べられるべきなのはこいつなのではないか???という感じでした。

この「クワイエット・プレイス」、どう見ても続編ありきで製作されていて、単体での評価という意味ではかなり難しいですが、総じていい意味で鑑賞前に想定していたものとは違って個人的には好きでした。

音を立てたら化け物に襲われるようになってから79日目からの世界というシーンからのっけから始まって、結局なぜ世界がこのようになってしまったのかという1番気になる点の描写どころか手がかりが一切なかったですし、ラストもそんないいところでブツ切りで終わるの?という展開でしたがこれらは次回作以降のお楽しみというところでしょうか。

90分ほとんどセリフなしなんですが、逆に言葉に出さずともそれと分かるような描写があったり、また収まることのない緊張感が終始続くので物語に引き込まれます。

ヴェノムみたいな口元と寄生獣みたいな頭でデザイン的には割とありがちなビジュアルをしていた化け物ですが、あの異常に発達していると思われる耳のアップは気持ち悪くて好きでした。

音を立てないよう砂浜の道を作ったり、有事の際は花火を打ち上げて化け物を撒いたり、すぐに危険を知らせられるようランプの色で信号を出したり、地下室を作って少しの音なら立てても問題ない環境を作ったりと随所に工夫が散りばめられていて、荒廃している世界、油断するとすぐに化け物に襲われるという状況込みでウォーキング・デッドを感じました。

父が諭し続けた言葉を実践し、身を呈して守ってくれた父を諦めて車で逃げる弟の勇敢な行動、姉のラストシーンでの父の愛情を知る気づきは家族愛と絡ませながらも局面を打破する伏線になっていたのでそこも良かったです。
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