みおこし

クワイエット・プレイスのみおこしのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
4.0
いやー、本当にすごい作品でした。終始耳と目をフル稼働させて釘付けになってしまいました...。
登場人物と同じように必死になって「奴ら」の気配を感じ取ろうとしている自分に気づき、ハッとなるほどには臨場感満載。映画を観ながら背後に何かを感じるという経験は『羊たちの沈黙』以来。
また、あの謎のクリーチャーの得体の知れない雰囲気といい、必死の攻防戦のスリリングさといい、『エイリアン』を観た時の衝撃にも似た感情を抱きながら劇場を後にしました。

主要な登場人物はわずか5人。舞台もほぼ家の中、近くの森と麦畑で展開されるのですが、とにかく先が読めない。予告編でも何が何だか一体分からなかったのですが、中盤になるまで本当に敵の全貌が明らかにならないので、余計にハラハラドキドキ。
だいたいのホラー映画は、一番最後の敵との一騎打ちシーンが当然最悪の出来事を描きますが、「げ、これ以上最悪な状況ある?」という場面・物語が次から次へと登場するので、観客にホッとため息をつかせるスキを一切与えてくれません。
いつもならすごく気にしてしまうクリーチャーの詳細も正直あまり気にならなくて(笑)それほどまでにハラハラさせる演出が神がかっているし、姿が見えなくても十分怖いという点でも素晴らしい作品でした。

「今の音絶対気づかれたでしょ!」「何でこの音に気づいた?!」とか、「それに気づくの遅いよ!」「注意力がなさすぎ!」というツッコミどころもほんの少ーしある一方で、その他の気になる点もほぼ全て伏線回収されるのでかなりスッキリ。
一家揃って演技派揃いなので、じわじわと恐怖感や、家族に対する思いが伝わってきて思わず涙してしまう場面もありました。
ちょっとした小道具から、それぞれのキャラクターの深い背景が浮かび上がってくる点もホラー映画にはあまりないところ。

ドラマ性溢れる上に、「聴覚」に訴えるという禁断の手法。怖い作品だけど、エンタテインメントとしては最高級に楽しめる快作でした。
ラストもかっちょいい!!

本作でひたすら怯え続けていたエミリー・ブラント姉さんですが、『メリー・ポピンズ リターンズ』ではどうか笑顔を見せていただきたいなと願うばかり(笑)。
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