JoeyOgawa

クワイエット・プレイスのJoeyOgawaのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
4.3
一つの設定を徹底し、極上の雰囲気と世界観を作り上げた良質のホラー映画!

普通ならパニックになる前とパニックになってからの世界観で行うが、この映画はパニックになってからかなり経ってからの世界観で始まっているので、普通のホラー映画とは一線を画している。「音を立てたら謎の生物が襲ってくる」というルールを徹底している。生き残った人もリーとエブリンの家族5人以外にはごく少数。映画全体としてホラー映画というよりも『アイアム・レジェンド』や『ザ・ロード』のような終末ものの作品や『バイオハザード』シリーズのようなゾンビサバイバル映画の雰囲気を持っていて、これらの作品が好きなら楽しめる。
 

これに加え、各キャラクターの会話がヒソヒソ声の会話か手話、目線や仕草で展開している。まるでカラーのサイレント映画を見ている感覚で独特の味わいがある。また、長女役のミリセント・シモンズが元々聾者であることから手話から耳が聴こえない人の感覚が絶妙かつリアリティ。偶然とはいえこれまた本物設定の妊婦のエミリー・ブラントも上手く恐怖に取り込み、より無理な設定から見るものをドキドキさせる。


被害に遭う側がひっそりとする有り様は『ドント・ブリード』に似ているが、あの作品と比べると被害とゴア描写が少ない点ではちょっと見劣りする。が、緊張感という点では勝るとも劣らない。

途中、父子がキャンプに出たりする謎な展開があったり長女の行動など脚本へのムラを感じなくはないが、全体的な雰囲気がよく出来ているので最後まで見れる。シンプルな設定だがホラー映画や終末映画が好きな人なら見逃して欲しくはない。

 
JoeyOgawa

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